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生涯現役社会の未来





巷はコロナウィルスで騒然としているが、皆さんのご健勝をお祈りしています。さて、「高年齢者雇用安定法」の改正(案)が今月2月4日に閣議決定された。平成25年に施行された同法は、希望者全員を65歳まで雇用するように企業に義務付けたが、今後これを70歳まで引き上げようというものである。

平均寿命が100歳を超える時代になると言われている。すでに現時点でも男性は80歳、女性は90歳に寿命が普通に届く。働くのは心身の健康的にも、経済的にも、そして社会的にも大変良いことだと小生は思う。働く場はコミュニティであり、そうした場に所属していることで、孤立することなく心身ともに豊かな生活を維持することが可能になるからである。何もすることがない老齢時代というのはさぞつまらない日々となろう。

この法改正の賛否両論はいろいろあるが、小生の関心は「生涯現役」が当たり前になった時にどんな社会になるかである。少子高齢化の影響は人口減少ばかりではない。平均年齢の上昇も引き起こしている。我が国の平均年齢は2020年現在で48.9歳。実に素晴らしいことに世界最長老国家だ。アメリカは38.6歳。中国は38.7歳と約10歳若い。ちなみにドイツは47.4歳。イギリスは40.4歳である。我が国の就業者数は約6800万人であるが、この就業者の平均年齢もさぞ高かろう。これからそれに拍車がかかるのは想像に難くない。

このトレンドが継続するとして、30年後の2050年の日本では一体何が起きているのだろう。就業者の平均年齢は2020年現在では恐らく50代前半と思うが、2050年ではこれがシフトし60歳前半くらいなのではないか。まさに超高齢者社会である。その中ではいろいろな泣き笑いがあるに違いない。同じ職場で再雇用されるのであれば、若い時分に自分が育てた昔の部下が上司となることもあろう。かつての部下たちはさぞやりにくいことだろうが。すると「元上司を動かす方法」などというハウ・ツー本がベストセラーになるかもしれない。また逆の立場の本も出るであろう。「昔の部下とうまくやる方法」などか。そんなセミナーが巷で花盛りになるのではなかろうか。貴殿も部下は親切に扱いましょう。親切は人の為ならず、まさに自分のためである。

高齢社員が増えれば、インフラだっていろいろと変化するだろう。電車の乗り降りも余裕とゆとりを持ってドアの開閉が行われるようになるかもしれない。電車のシートはすべて優先席となるだろう。通勤で気分が悪くなった高齢者のために電車が度々停車をして、今以上に「車両内で救護活動をしています。」とアナウンスを聞くことになろう。AIが信号待ちの歩行者の様子を見て、全員渡り切るまで横断歩道の信号はずっと青となろう。エスカレーターが超ゆっくりになるかもしれない。危険を避けるため、これもAIが監視してよろける搭乗人物のために時々停止するかもしれない。社会全体がゆっくり・ゆったりとしたペースになるのではないか。

90歳を超えて働く人だって普通になるだろう。すると長時間歩けない人も多くなろう。飲食店やちょっとした休憩スペースも相当に増えるのではないか。もっとも歩行サポート「ロボット」なるものが出現し、長時間歩く社員には補助としてつくかもしれない。そうした超高齢社員の営業はどうか。ロボットと一緒の超高齢社員の営業を受ける会社もさぞ困るのではなかろうか。ロボットはひょっとすると人と同じように会話に入ってきて営業を助ける存在になるかもしれない。相手は90歳超の社員と話術の巧みなロボットとなるわけである。

そのうちロボットの方がディープ・ラーニングとやらで、どんどん対話力をつけて、話の中心になるかもしれない。正確だしとにかく一度聞いたことや失敗は忘れずに改善する。すると超高齢社員が一緒に営業に行くのはただの顔つなぎ役ということになるかもしれない。そのうちに、それならロボットが営業に行って、超高齢社員は立体電話で繋ぎ役になればいいんじゃない?という話になるかもしれないな。しかしずっと顔つなぎ役が必要なわけもなく、相手先の担当者がロボットとの対話に慣れたら、その超高齢社員は出てこなくても良くなるだろう。そこでお役御免となるわけである。


いろいろ妄想はあるが、一言で言えば優しい社会になればいいな。思いやりが原理原則となる、そんな社会を絶賛募集中である。

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