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2020年ゴールデンウィークの思い出




4月29日(水)から飛び石で始まったゴールデンウィークが終了し、5月7日(木)から平日に戻った。とは言え緊急事態宣言が延期されたので、多くの皆さんは引き続き巣ごもり生活になったのではないか。小生もその1人である。

星新一さんのSFにちょうどそんな内容の作品があるのを思い出した。タイトルは忘れてしまったのだが、とある男性、仮にF氏が、ベッドに寝そべって万能ロボットにマッサージをさせている、そんなシーンから物語が始まるのだ。そこに友人のN氏からTV電話がかかってくる。それに出ると、相手のN氏も同様に万能ロボットにマッサージをさせている。その時代では自動化が究極的に進み、すべての力仕事はロボットがやってくれるので人々は一切外出しなくても良いという環境。つまりは全人類が巣ごもり生活をしているというわけ。

星新一さんは尊敬する作家の一人である。彼の紡ぎ出す世界は、とても凡人には思いつかない奇抜なアイディアが、まさしく最後の一点に収束する。期待を裏切らないというべきか、整合性が取れていると言うべきか。その一点とは必ずブラック・ユーモアで完結するというもの。彼の作品でハッピー・エンドの結末となった物語は記憶がない。読んだことがあればぜひ教えてください。

先の作品についても、すべてが自動化され人が何もすることがなく、一切外に出る必要がない便利な世界は、実は増えすぎた人口増加のために食料が足りず、ギリギリ生きていけるだけの量しか配給されない世界。そしてそれを万能ロボットが徹底管理している。お腹を空かせ体力もなく、他人の家に泥棒に入ろうにも50メートル走れるかも怪しいので、皆が部屋に引きこもっており、嫌でも長生きしてしまうというのがその結末。平等で犯罪も発生せず平和な世界と言えばそうだが、見事なブラック・ユーモアである。

このゴールデンウィークでは大手航空会社の稼働率が前年比95%マイナスだったそうだ。皆さん巣ごもり生活をしていたに違いない。しかし、星新一さんのSFとは異なり、コロナが収まればまた元気溌剌と外で活動できる日々が戻って来るであろう。人生は短いようで長いので、こうしたゴールデンウィークも一生に一度くらいはあっても良いのではないか。少なくとも皆が共に体感したことで、「2020年は酷かった。オリンピックも何もかも延期になってしまったし。」などと共通の話題にはなる。

昔々、約100年程前に、日本をスペイン風邪が襲った。今回のコロナ感染とよく比較されるのでご存じの諸兄も少なくないであろう。仮にこうした世界に蔓延する疫病が、100年に1回くらい暴発してしまうならば、今の時代を生きる我々は2度とは遭遇することがないだろう。それは幸いなことではなかろうか。

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