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くわばらくわばら





緊急事態宣言の全面解除も近づいている。ありがたいことである。3月にはいってから、父親の居住する特養が訪問禁止となってしまった。ここ2ヶ月近くお見舞いに行けないのであるが、東西を問わず同様の諸兄も多かろう。特養や高サ住、老健などで暮らしている高齢者の皆さんは、さぞかし暇を持て余していることであろうが、現役世代であろうと、学生であろうと状況は似たり寄ったりではある。

話は変るが、我が国ではいよいよこれから平均寿命が100歳に届く時代となって来る。知の巨人と言われるピーター・ドラッガー先生が30年以上も前に、「日本社会はこれから80代が90代を支える社会を創らねばならない。」と少子高齢化時代の到来に警鐘を鳴らしていた。その文章に初めて出会っ時に僕は「80代半ばまでできる仕事とは一体どんな仕事であろうか。」となかなか思いつかなかった。

しかしこの歴史的なコロナ感染蔓延⇒医療崩壊があり、多数の方が「在宅ワーク」というものを体験したことであろう。その中には、「なんだ、会社に行かなくても仕事はできるものだな。」と実感をした方も少なくなかろう。ある意味「働き方改革」が否応なく実践できてしまったとも言え、まさにけがの功名である。そして実際のところネット環境さえあれば、僕が父親と同じ90代になったとしても(それはさほど遠い未来ではない)、特養に入っていても、仕事は続けていけると思うのだ。現在のコーチという職業は、コミュニケーションがその主たる仕事だからである。皆さんも将来の職業としてはいかがですか。

しかしなぁ。このように文章を書きながら想像してみる。現在すごい勢いでAI化が進んでいるので、ほとんど人と変わらないような対話ができるAIシステムが近い将来にできないとも限らない。だいたいiPhoneのSiriにしたってずいぶんとちゃんとした対話になっているではないか。カーナビにしても音声を応答してくれるタイプもずいぶん前に登場している。そのうちに軽い対話やバカ話もできそうな感じはする。

少し前に見た「her/世界でひとつの彼女」という映画では、まさしくニョーボと離婚してトラウマに苦しむ中年男性が、AIの音声サービスによる疑似彼女に恋をしてしまう、という物語であった。その映画の中では実に巧みにAIが男性の気持ちを汲んで、どん底から引っ張り上げて元気にして行く、そんなありそうでなさそうなプロセスを描いている。ご興味ある方はアマゾン・プライム対象作品なので今週末にでも見てくだされ。

するとこのコーチの対話についても、AIが対応できる時代がいずれやってくるんだろうな。技術の進歩は日進月歩であるのできっとそんなに遠くない未来に、まさにクライアントの1人1人に合わせ、カスタマイズした成長を促す対話が、24/7で時間を気にせずできるようになるに違いない。そうするとその先どんなコーチもあるい不要となってしまうかもしれないなぁ。

人の個性をAIが理解できるようになるとするならば、ある人の考え方の本質をAIが理解することによって、その方の個性を身に着けることができるAIも現れるかもしれないなぁ。話は飛躍するが、それが「不老不死」に近い存在に繋がるのかもしれない。いずれバーチュアルに未来永劫生き続けることができる、自分の分身のようなAIも現れるかもしれない。

もしそうなったら、自分の死を待つまでもなく、AIに自分の代わりをやってもらった方が、返ってクライアントから受けが良い、ということもあるかもしれないな。そんな感じでいつのまにか「人」が行っているかのように見せかけて、実はAIが代りになっているような在宅ワーカーも出てくるかもしれない。それがバレてコンプライアンス違反で当の本人はクビになっても、身代わりのAIだけは仕事を続ける、しかも給料ゼロで!なーんて時代が到来しないとは限らない。くわばらくわばらである。



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