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デジタルの未来

「デジタルの未来」という本を読んだ。マッキンゼーのユルゲン・メフェルトさんらが2018年8月に出版した本である。小生が参加するTokyo Eglish ForumでNさんに推薦された。ちょうど2年前に出版されたその本は、ちょっと時代遅れではないかと最初に思ったが、読んでみると広く浅くDegital Transformation、いわゆるDXを各社がどのように進めているのかを論じている。ご興味がある方はアマゾンでどうぞ。

本の中で紹介されたDXに取り組んでいる日本企業は皆無であった。残念ながら事実であろう。世界を牽引しているDX企業と言えば出てくるのはGAFAであったり、マイクロソフトであったり、テスラである。その通り、彼らの企業名は何度も本の中で登場した。日本企業で書面に現れた会社名は、トヨタくらい。しかも「DXで後れをとっており、これからの挽回路線も見えない。頑張れトヨタ!」 という論調である。。

GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の時価総額を合計すると、現在の日本の東証上場企業、2170社すべての時価総額、550兆円よりも大きくなると日経が最近報じた。本当か?と思い確認したところ、2020年8月4日現在でGAFAMの時価総額は、1+2+0.7+1.5+1.6=5.8兆ドルである。JPY/$が仮に100円だとしても580兆円。110円だとすれば、640兆円となり、確かに超えている。アップルの時価総額はソニーの株価の約20倍。もちろんいろいろな解釈はあるが、どうしてここまで差がついているのか。

諸兄の中にもGAFAMの株を持っている方もおられると思うが、それが答えということだろう。投資家の期待値が相当に高いということである。GAFAMは何かこれからやってくれそうだと思うが、ソニー、東芝、パナソニックにはそれだけの期待が持てないと考えているのだ。それはPERの数字の差にもなっている。 PERとは投資指標の一つで、株価を一株利益(年間)で割った数字。アマゾンはこの数字が120程度で、ソニーの18の約7倍となっている。逆にソニーがこれだけのPERがあれば、時価総額はフェイスブックとほぼ等しく日本円で約70兆円程度となろう。アマゾンがこれだけのPERになっているのは今だ年間20%程度の成長率を見せていることが大きい。

本を読めば「技術力で日本企業が欧米企業に劣っている」というわけではないことが読み取れる。むしろ技術力については勝るとも劣らないものがある。なぜ日本企業がこれだけDX化と、そしてその結果としての時価総額に差が出てしまっているのか?小生は「過去の成功を捨てる勇気」がないことが大きな原因の一つだと思うのだ。例えばトヨタはハイブリッドで世界を席巻した。しかしそれ故に電気自動車化は遅れており、世界の潮流はそちらに向かっている。それはテスラがすでにトヨタを2020年6月時点で時価総額で抜いてしまっていることにも見て取れる。

過去の成功を捨てることはとても難しいと思う。誰だってしがみついていたいものだ。しかしそれを敢えてやっていかなければ、未来は拓かれないのではないか。それには思い切って発想を転換してリソースを集中することだろうと思う。石炭がエネルギーの主流であった時代、デゴイチなどの名蒸気機関車は技術力の集大成であったことだろう。しかし、蒸気機関車の技術をいかに高めても、ディーゼル機関車や電車にはかなうまい。そういうことではないか。

例えばトヨタについて言えば今すぐにでも電気自動車とガソリン車の製造台数比率を逆転させるロードマップを真剣に考えた方が良いと思う。世界をあっと唸らせるような施策を見せてほしいのだ。最近の株価指数を見ていると、それくらいの思い切った発想の転換が世界から日本企業に求められているような気がしてならない。

https://ameblo.jp/sakaitgg/entry-12615599678.html


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